カンボジア 2011年経済センサス確報結果の公表について
~女性が支えるカンボジアの経済成長~JICAカンボジア政府統計能力向上計画

チーフ・アドバイザー
西 文彦

 去る3月13日、カンボジア史上初めて実施された経済センサスの確報結果が、フン・セン首相名で公表されました。詳しいカンボジア2011年経済センサス確報結果は、文末の関連リンクの(1)に記述されているページに掲載されています。経済センサスとは、いわゆる事業所の国勢調査です。人口センサス(国勢調査)は、カンボジア国内のすべての世帯が調査対象ですが、一方、経済センサスは、商店、工場、事務所等のすべての事業所(農林漁業に属する事業所等を除く)が調査対象です。

 結果をみますと、従業者総数168万人のうち、6割強の103万人が女性であることが分かります。すなわち、成長著しい現在のカンボジアの経済は、女性が牽引しているといってもよいくらいです。

 その一方で、たまに早起きして街に出てみると、多くの女性がトラックの荷台に乗って、工場に出勤する光景を目にします。乗っているというよりも、ぎっしりと積まれたといった方が正しいかもしれません。まさに、女工哀史さながらの光景であり、それをみるたびに、胸が締め付けられる想いです。彼女たちが乗ったトラックが交通事故を起こしませんように、と祈るばかりです。

 日本は、JICAカンボジア政府統計能力向上計画(技術協力プロジェクト)を通じて、この2011年経済センサスを、初期の段階から全面的に支援しています。
 この統計プロジェクトは、2005年8月から2015年3月までの予定で実施されており、これまで、2011年経済センサスのほか、2008年人口センサス(10年に1度)や2009年全国事業所名簿整備調査(カンボジアでは初めて)も支援してきました。また、カンボジアで技術指導を行っている専門家は、総務省を始めとして、(独)統計センター、(財)統計情報研究開発センター及び(株)日本経済研究所から派遣されています。

写真1 カンボジア計画大臣が2011年経済センサスの実地調査を視察(2011年3月1日、プノンペン市内にて)

写真2 2011年経済センサスの確報結果公表式典(2012年3月13日、首相府にて)

 カンボジア計画省統計局(National Institute of Statistics (NIS), Ministry of Planning)は、2013年3月までに、Provincial Reports、Analytical Reports、Census Atlas等、18種類の2011年経済センサスの報告書を順次刊行する予定です。これらの報告書は、同統計局、左記の関連リンクの(4)で入手可能です。

【関連リンク】
(1)2011年経済センサス確報結果
  http://www.stat.go.jp/info/meetings/cambodia/census11.htm
  ・フジサンケイビズの記事
  http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120321/mcb1203210501011-n1.htm
(2)2008年人口センサス確報結果
  http://www.stat.go.jp/info/meetings/cambodia/final_br.htm
(3)カンボジア政府統計能力向上計画
  http://www.stat.go.jp/info/meetings/cambodia/phase3.htm 
  ・経済協力開発機構(OECD)の記事(P9)
  http://www.oecd.org/dataoecd/26/34/49803839.pdf
(4)カンボジア計画省統計局
  http://www.nis.gov.kh/


西 文彦(にし ふみひこ)
日本での所属先は、総務省統計研修所。カンボジアでの配属先は、計画省統計局(National Institute of Statistics, Ministry of Planning)。
カンボジアに初めて来たのは、2004年。
2005年から、JICAの技術協力プロジェクト「カンボジア政府統計能力向上計画」のチーフアドバイザーを拝命し、現在に至る。
しかし、カンボジアには必ずしも長期滞在せず、年4回ほど日本から出張してきて、短期滞在を繰り返している。
このプロジェクトを通じて、これまで2008年人口センサス、2011年経済センサス等を支援。
カンボジアの統計への支援を通じて、みなさまのお役に立つことができれば、誠に幸いである。