第七回カンボジア日本人会盆踊り大会を振り返って

石田 和基

 10月23日の盆踊り大会終了後、実行委員会での打ち上げがありました。
 その席で不覚にも号泣してしまいました。それは決して寂しい涙でも悔しい涙でもなく、本当に信頼できる仲間とひとつのことをやり遂げた満足感から込み上げたものでした。
 雨期真っ只中「今年は在留邦人の増加、盆踊り大会の認知度向上の観点から昨年以上の参加者が予想されることから、昨年までの施設ではなく、収容人数の大きな施設、場所で開催したいと考えています。」と事務局からの方針を打ち出しました。
 これは、収容人数、規模の拡大は勿論のこと、既成概念の打破を行い、新しい形の盆踊り大会を模索したいということもありました。しかしながら、どの世界でも既成概念を打破する際には、必ずそこには抵抗勢力というものは存在するもので、様々な抵抗に遇い、一時は諦めかけたこともありましたが、そんなときに叱咤激励してくれたのが、一緒に事務局を支えてくれたN氏であり、日本人会役員の皆さんでした。まずこの場をお借りして、皆さん本当にありがとうございました。と、盆踊り大会開催前に、「信頼し合う心」「連帯感の尊さ」「真の友情とは?」といった、ヒューマニズム・ドラマがあったことを冒頭にお知らせして、いよいよ本編に入っていきましょう!
 すったもんだの末、今年の盆踊り大会会場は「ダイヤモンドアイランド」に決まりました。「え~、ダイヤモンドアイランドって、昨年悲惨な事故も遭ったし、ヤバくない?」「カンボジア人参加しないんじゃあないの?」と色々なことをささやかれましたが、最終的には、
「盆踊りとは‥盆に招いた祖霊を迎え、送るための念仏踊りである。」という定義をもって、開催にこぎつけました。
 さあ、ダイヤモンドアイランドでの開催にこぎつけたものの、「四千人の参加者を本当の集めることができるの?」「四千人分のお腹を満たす夜店を集めることができるの?」「警備体制はどうするの?」等々、新たなことを立ち上げるときには、得てして起こる問題が山積み!でもそこは、岡田日本人会会長兼実行委員長を中心とした実行委員、日本人会補習校関係者の皆さんが、それぞれの担当分野で八面六臂の働きをして頂き、盆踊り大会前日には何とか体裁を整えることができました。
 盆踊り大会が始まるにあたり、JOCV隊員が指導するマーチングバンドが盆踊り大会開催に花を添えてくれ、華やかな雰囲気の中で幕を開けました。

 岡田日本人会会長の開会宣言、黒木雅文日本人会名誉会長のご挨拶の後は、恒例の日本人会補習校の生徒によるパフォーマンス(「よさこいソーラン」「こども神輿」)が会場狭しと繰り広げらた後、今やカンボジアだけに留まらず、近隣諸国で活躍されている国際的パフォーマンス軍団のご存知「芽魂太鼓」の演奏で、会場の雰囲気は否応にも盛り上がりました。

盆踊り会場
壮大でした.. ブラスバンド。がんばれ!
ご存知岡田会長です
黒木大使.. ありがとうございます
みんなで協力.. 素敵な思い出作り.. in プノンペン
芽魂太鼓は永遠に不滅です
リードダンサーの皆さん浴衣がお似合いです
カンボジア人との友好.. それは盆踊り
来年はもっと規模拡大しますか?


来年はバージョンアップした僕に期待して下さい

 一連のパフォーマンスの後に、参加者が一目散に向かった先は、「チャリティーバザー」のブースでした。昨年も大変な人気だった「チャリティーバザー」は今年も大変な人気で、「チャリティーバザー」でお手伝い頂いたボランティアの皆さんも汗だらけで対応して頂き、本当にご苦労様でした。






































 さてさて、盆踊りの方は、神崎日本人会相談役のご尽力で素晴らしい櫓及び提灯設置を行って頂き、その櫓の周りを王立プノンペン大学/CJCC及びカンボジアメコン大学の学生さん達のリードダンサーに従い、みるみるうちに二重、三重の踊りの輪ができ、大変な盛況となりました。この状況に、岡田日本人会会長が「来年はもう少し会場を広げないと駄目かな~」と嬉しそうな表情で、独り言のようにつぶやいた姿が印象的でした。
 このような盛りあがりを見せている中、更に盛りあがったのが、プノンペンにこの御大ありと謳われた「南島三郎先生」によるパフォーマンスでした。
 今年の盆踊り大会で鮮烈なデビューを飾り、参加者の心を鷲掴みにした「南島三郎先生」! これからも機会があるたびに、その雄姿をあちらこちらでみることができるものと期待しています。

 盆踊りと共に盆踊り大会のもうひとつの楽しみは、やはり「夜店」でしょう。今年は、在留邦人のみならず、カンボジア人も含めて、様々な団体・個人の方々が趣向を凝らした夜店を出店して頂きました。
盆踊り大会では常連組のお好み焼き、胡椒入りソーセージ、おでん、生春巻き、アイスクリーム等々、昨年から参加いただいているたこ焼き、みそ串カツ、飴細工等々、また、今年旋風を巻き起こしたタイ焼き、ラーメン、各種デザート類と様々な食べ物、飲料水、ゲーム等と色とりどりの夜店を出店して頂き、参加者から大好評でした。

スタッフは最高でしたが.経営者の手腕が..
2012年ロンドン五輪!がんまります!!
 但し、時間が若干早かったこともあり、各夜店におかれましては在庫が残り、大変ご迷惑をおかけしてことをこの場を借りてお詫びいたします。来年はその開催時間を夕食時に合せ、全ての夜店が完売できるように実行委員会としても方策を講じたいと存じますので、今年に懲りずに来年も宜しくご協力の程お願いします。因みに、筆者が友人と共に出店したカンボジアで一番長い店名の夜店は、数百ドルの大赤字で、その債務処理で未だに四苦八苦していることを加筆しておきます。トホホ…。

 ここで、少しオマケを...既に参加者の皆さんの中にはその姿を盆踊り大会会場の中で見かけた方も多いと存じますが、カンボジア国籍を取得し、二〇一二年ロンドン五輪でマラソンカンボジア代表を狙ってる、タレントの猫ひろし氏が来場されていました。筆者も話をしましたが、芸能人(?!)とは思えないほど、腰の低い丁寧な方でした。カンボジア国籍を取得し五輪代表を目指すという手段、動機については、賛否両論あるかと思いますが、一日本人として、猫氏を応援していきたいと思っているのは筆者だけでしょうか?

さて、色々なことがありながらも、「第七回カンボジア日本人会盆踊り大会」は、怪我人もなく、更に、昨年発生したスリ等の犯罪も発生せず、平穏の中で無事に幕を閉じることが出来ました。
 これも偏に在留邦人の皆さん、各企業・団体のご協力、ご支援があったからこそ為しえたことと深く感謝いたします。本当に皆さんありがとうございました。
 来年の盆踊り大会は、新たな日本人会役員・実行委員会布陣の下、開催される予定ですが、日本人会役員・実行委員会だけでは何もできません。在留邦人の皆さんのご協力、ご支援がない限り、参加者全員がカンボジアでの思い出の一ページに刻むことができる盆踊り大会はできませんので、何卒、今年以上のご協力、ご支援を宜しくお願いします。
 では、来年、盆踊り大会の場で、皆さんと再びお目にかかれることをお約束して、筆をおきたいと存じます。最後に重ねてありがとうございました!