かくし芸大会に参加して

私の原点、トルコ行進曲

青年海外協力隊 平成22年度3次隊 森 零

 はじめまして。私は青年海外協力隊の森零と申します。昨年末の忘年会では皆様の前でモーツァルトのトルコ行進曲を演奏させていただきました。近年はピアノに接する機会もめっきりと減ってしまい、演奏できる曲目も数えるほどになってしまったのですが、その中で私にとって一番思い出深いこの曲を選びました。
 このトルコ行進曲は、私にピアノを弾く楽しみを教えてくれた曲です。ピアノの経験がある方ならご存知だと思いますが、ピアノ初心者用の教材に「バイエル」といわれるものがあります。小学生だった私は早々に「バイエル」を挫折してしまうことになります。
 数年間ピアノから離れた生活が続いていたある時、どこかで聞いたことのあるメロディーが耳に入ってきました。まさにそれがトルコ行進曲だったのです。この曲を弾けるようになりたいという思いが猛烈に燃え上がり、1ヶ月間寝食を惜しんで練習に没頭しました。必死の思いで弾けるようになったことで、再びピアノを弾くという喜びを感じられるようになったのです。それからは、時間のある時に自分の好きな曲を練習するというスタイルでピアノを楽しんでおります。
 忘年会に話を戻しますが、あれだけ多くの方々を前にしての演奏でしたので、非常に緊張しました。演奏中も手がガタガタ震えたりして決して満足のいく演奏ではありませんでしたが、後に数名の方からお声をかけていただき、演奏をして本当に良かったと思っています。
 今後はクラシック以外にも色々と挑戦していきたいと考えています。現在は有志でJazzをやることになりましたので、それに向けて練習中です。日本人、カンボジア人問わず音楽を通して交流が深められればと思っています。また機会がございましたら皆様と音楽を楽しんでいければと思っておりますのでよろしくお願いします。

森JOCV隊員.. ピアノの魔術師でした


緊張しました

福若 雅一

「日本人会の忘年会でサックスを演奏しませんか」
 とのお誘いをいただき、二つ返事で引き受けたものの、後日送られてきた案内状を見てびっくり。なんと会場がラッフルズホテルとなっているではありませんか。小さなレストランを借り切って、数十人で立食‥というのをイメージしていたので、宴会芸なら大丈夫かなと思ってお引き受けしたのですが、ホテルのボールルームはまずい。しかし一旦お引き受けしたものをお断りするのはもっとまずい。腹をくくって恥をさらすつもりでの演奏となりました。3曲目では会場の皆様から手拍子も頂き、さらには賞まで頂戴して本当に恐縮いたしました。
 サックスと出会ったのは2007年の確か9月。セネガルでの3年間の勤務を終えしばらく経ったある日、ネットを見ていたら「大人の音楽教室」というのが目に留まり、その週末に体験教室に参加、即申し込み。楽器も即購入。楽器を買って帰った時の家族の冷たい視線。
 習い事は小学校低学年でのそろばん塾以来のこと。音楽といえば中学、高校でギターを独学で少々触っただけ。50歳を過ぎて、ましてサクソフォンはかなりハードルが高そうでしたが、1ヶ月に3回のグループレッスンを8ヶ月続けたところでインドネシア勤務となり初級クラスを中途退学。
 インドネシアでも習おうと考えていましたが、適当な場を見つけることができず、こんな時に出会ったのが、邦人駐在員中心で活動しているビッグバンド「ギャラクシー」でした。土曜日の午後の練習を見学して驚嘆。趣味の域をはるかに超えた本格的なバンドで初心者マークにはとても無理とあきらめかけましたが、バンドの皆さんの優しいお言葉で練習だけでも参加させていただくつもりで参加。これから約2年間、ほぼ毎週土曜日の午後に4時間の全体練習。練習だけではなくホテルロビーでのラテンダンスとのコラボレーション、独立記念塔広場で開催された日本祭りでの特設ステージ、ショッピングセンターのホール、ギャラクシー単独コンサートなどに参加させていただきました。
 インドネシアから帰国し、基礎ができていないことを痛感していたので「大人の教室」に再入学。「うまく演奏するより、きれいな音を」を目標として練習し中級を卒業(出席していれば誰でも卒業になりますが)、と同時にカンボジアへ勤務が決まり2011年10月に赴任いたしました。
 本当に本当の話ですが、人前でソロ演奏したのは、カンボジア事務所での歓送迎会が最初です。これは内輪の宴ですのでそれこそ「かくし芸」のつもりでした。日本人会の忘年会のお話をいただいた時も、この延長線のつもりで気軽にお引き受けしてしまったというのが事の顛末です。
 50歳を超えてなんでサックスを始めたのかと聞かれる場合が結構あります。理由は分かりません。啓示を受けたような感覚というのが正直なところですが、後付で考えると、引き算で人生を考えることが多くなり、足し算を欲しがっていたのかなと思います。「難しいかも知れないけれど、今から10年続ければ何とかなるだろう、10年後から始めたらまずできないだろう」と漠然と思ったのは確かで、ちゃっかり10年を先取りしたつもりになっているのかも知れません。
 それから宣伝ではありませんが「大人の教室」のように、習い事をする、誰からか何かを学ぶという謙虚な気持ちも新鮮な感覚でした。また、ギャラクシーでは10代から60代までの幅広い年齢層の方々と一緒に、演奏会に向けて練習するにつれ、バラバラだった音や気持ちが大きなまとまったエネルギー体となって一気に発散するというダイナミックな感覚を味わうことができました。
 サックスを始めて4年強になりますが、サックスを始めていなかったら今の自分はどんな風になっていたのか想像もつきません。10年は無理でも、2~3年は人生に足し算することができたのではないでしょうか。これからも地道にずっと続けていくことで、新しい出会いや新鮮な感覚を味わうことができ、またいくばくかの年数と楽しい思い出を人生に加えることができれば素晴らしいことだと思います。
 忘年会でも申し上げましたが、いつでもどこでもお呼びがかかれば出かけるつもりで日々練習しております(レパートリーは限られます)。当面はピン活動ですが、一緒に演奏していただける方がいらっしゃれば、お誘いいただければ幸いです。

福若さん.. 貴方のサックスの音色に酔いました


 ふわふわ★ぴよぴよ

井上 エリカ

 忘年会より2か月以上過ぎた現在も、『はじめまして』とご挨拶をすると、あー!忘年会の時の!!と言われます。素敵な皆様に覚えていただいて大変光栄です。
 残念ながらご覧いただけなかった方のために少し振り返りをさせていただきたいと思います。クリスマスシーズンらしく、ぷっちモニの「ちょこっとLOVE♪」で始まりました私の芸は、最後まで楽しい音楽にあわせて進みました。事前の打ち合わせで岡田カンボジア日本人会会長にリクエストをいただいておりました「秋田弁なまりのクメール語でバスガイド」を心の片隅に置きながらセサミストリートのエルモの真似やなまはげごっこをして、たくさんの皆様に怖がっていただきました。 何事も、やりきることが大切ですので長時間のかくし芸も、精一杯頑張りました。「酔っていないと、あれは出来ないよね、アルコールのおかげ?」と聞かれますが、忘年会の際はヒドイ風邪にうなされ、近所のおばちゃんから買った怪しい薬を飲み短時間で燃え尽きるウルトラマン状態でした。ちなみに、2月5日の運動会の司会もノンアルコールです。秘訣は、中学校から放送部で鍛えた発声。そして家電量販店で鍛えた愛嬌です。
 そんなわけで、2012年の忘年会にいらしていただければ、可愛いうさぎの耳をつけた私がお待ちしているかもしれないので、皆さん是非今年も忘年会にご参加ください。出演すると、ますます楽しいです。求む!仮面をつけて歌って踊れる後継者。(了)

エリカさん.. 僕の負けです(ポッ!)