絆フェスティバル

渡部 晃三

「日本・カンボジア絆フェスティバル」

開催 : カンボジア日本人材開発センター

 2012年2月16~19日の間、カンボジア日本人材開発センター(CJCC)にて、在カンボジア日本国大使館とカンボジア日本人材開発センター(CJCC)の共催で「日本・カンボジア絆フェスティバル」が開催されました。昨年までは、CJCCが日本の無償資金協力により設立された記念日(2月21日)前後にCJCCフェスティバルとして実施されていましたが、今年は初めて日本国大使館との全面タイアップにより、充実した盛りだくさんの内容で行われました。
 このフェスティバルは、両国の文化交流を一層深めることを目的に開催されたもので、日本の文化紹介として、空手及び剣道の演武、日本映画上映会、いけ花、おり紙、茶道体験会が行われた他、日本語スピーチコンテストや青年海外協力隊理科教員による科学実験ショー等、多彩なイベントが催されました。また、日本留学に関する情報提供や、カンボジア日本人商工会と日本企業による企業説明会・就職相談会も初めて開催されました。さらに、JICA、日本のNGOによる活動紹介コーナー、アンコール遺跡保全活動紹介コーナーなども設けられました。
 16日のオープニングセレモニーでは、ソックアン副首相と黒木雅文日本国特命全権大使をはじめ両国の多くの機関の代表者と一般の方々が参加され、開会式を行った後に、国際的に著名な双子の和楽器奏者ユニット「AUN」と、王立芸術大学のカンボジア伝統音楽奏者によるジョイントコンサートが行われ、約400名の方々が日本とカンボジア双方の演奏者による、力強く繊細かつユーモアあふれる、ユニークな音楽の共演を堪能しました。
 また、今回のフェスティバルがカンボジアにおける初の上映の機会となった、カンボジアに学校を建設した日本の大学生の実際の経験をもとに製作され、日本の人気俳優向井理さん(日本・カンボジア親善大使)が主演をつとめた「僕たちは世界を変えることができない。But we wanna build a school in Cambodia」は、日本に留学した経験のある元留学生の協力を得て、クメール語字幕を付けて上映したこともあり、約450名が参加した2月17日のプレミア上映に加えて、フェスティバル期間中追加上映も3度行い、合計約700名もの方々が鑑賞しました。参加されたカンボジア人の方々からも、日本とカンボジアの若者の心の交流にとても感動した、など、とても高い評価の声をうかがいました。
 さらに「僕たちは世界を変えることができない。」の主題歌を歌うJ-POPグループ「RAM WIRE」による特別コンサートも日本国大使館の尽力により実現し、18日の夜、CJCCホールに集まった多くの参加者がスタンディングで演奏を楽しみました。
 フェスティバル最終日の20日午後の大きなイベントとなったのが「第15回カンボジア日本語スピーチコンテスト」です。このコンテストは、カンボジア日本人会やカンボジア日本人商工会をはじめ多くの日本企業に協賛いただいて開催されました。予選を勝ち抜いた15名が自信に満ちた大きな声でスピーチを行い、日頃の日本語学習の成果を競いました。最優秀賞は、「自分の力で前へ進もう」という題で身近な体験談から自分で問題を解決する力を身につけた経験を流暢な日本語で発表した名古屋大学日本法教育センターに学ぶヴォン・スレイダェンさんが輝きました。






 フェスティバルの期間中を通じて、両国の文化を紹介するために、多くの展示やイベントが行われましたが、展示としては、CJCCのロビーを用いて写真展「自然に潜む日本」と写真展「復興へ~東日本大震災~」がおこなわれました。また、CJCCスタッフと両国のボランティアが行なった、いけ花教室、おり紙教室、茶道体験などはいずれもカンボジア人の来訪者にとても好評でした。CJCCの中庭、大きなねむの木の下では、「もちつき」にくわえて、カンボジアにおけるもちつきに似た「オンボック」という行事も紹介されました。この「オンボック」は、米を炒った後にうすと2本の杵でついて、少しつぶれた平らな香ばしい焼き米をつくり、ココナッツの果汁と果肉をかけて食べるというものでした。また、CJCCのビジネス研修を受講してデザインの向上に取り組んだNGO団体による、手工芸品クラフト展もあわせて行われました。
文責 : 渡部晃三
CJCCプロジェクト(フェーズ2)JICA専門家