釣り愛好会へのお誘い

世話役
小川 泰行

 「何かいい事ないかなぁ。」「カンボジアでの生活って刺激がないんだよね。」「観光て言ったって、別に見たいところも無いよなぁ。」・・・あなたですね、そんな事言ってるのは!釣り愛好会はそんなあなたを夢と刺激に満ちた新しい世界にお連れしますよ。

 今日の舞台は港とシーサイドリゾートの街シアヌークビルのちょっと手前、リアム国立公園です。釣愛好会世話役の「マスター」と一緒にプノンペンから車で2時間、着きました着きました。ここがリアム国立公園。今日はちょっと曇ってはいますが、風も無く小船での海釣りには最高の天気です。「ソクサバーイ!」まずはいつものボートハウスの元気者、おばちゃんにご挨拶。「おばちゃん、アイスコーヒーね。ミルクも入れてね。」海辺のボートハウスでアイスコーヒーを飲みながら仕掛け作り(注①)です。
 よし、準備完了。「マスター行くよ。おばちゃん、こんなに大きいの釣ってくるからね。」と大きく両手を広げて、船に乗り込みます(注②)。今日も船着場から20分ほどで到着できるいつもの穴場(注③)で大物を狙います。「お互い、今日は大きいのが釣れるといいですね。」とまずはエール交換。でも実はこの時点ですでに釣師の本心は、「今日はあいつより大きいのを俺が釣るんだ!」と思っています。
 餌は事前に準備してもらっていた生きた海老。海老のシッポに針を掛けるとピンピン跳ねて、おいしそう。これならお魚ちゃんも飛びついてくるぞ!・・・3時間後、最初の期待は大きかったのですが、なぜか釣れるのは25㎝程度のガルーパ(ハタ)の子供ばかり。「この位のサイズが煮付けには美味しいんですよね。」と言った私は悔しさから。「天気は釣り日和だけど、潮の色がわるいなあ。潮の流れも悪いし、魚の活性が悪いよね。」とマスター(注④)。ところが、その時マスターの竿がグィーンと曲がって満月状態に!「大きいぞ!マスターあわてずに、あわてずに、ゆっくり巻いて!ゆっくり!。」さっきまでは俺の方が大きいのを釣ると対抗心を持っていた私も思わず大声援です。タモ(注⑤)ですくったのは40㎝程度の立派なガルーパ。マスターもどうだといった自慢顔。「いやあ、今日一番の大物ですね。」とは言ったものの、ちょっと悔しくて本心がポロリ。「でも1キロは無いかな。」
 ・・・その後も大物は釣れず、「今日はマスターに負けたなあ。」とあきらめ気分半分、「それでも釣りは最後までわからない。」と気合を入れて仕掛けを投入。竿先に集中していると、これまでのあたり(注⑥)とはまったく違う押さえ込むような大物のあたりが。少し食い込ませてグイッとあわせると、これは大きい!まずは海底の岩に潜り込まれないように魚を1メーターほど底から上げる。次に逃げる魚とのやり取りがしやすいように船のオモテ(注⑦)に移動。後は、ドラッグ調整(注⑧)済みのリールが時々逆回転して糸が出たり、また巻いたりしながら魚とやり取り。海面にのっと浮いてきたのは、は50センチ、 2・6キロのコショウダイ。「やったぜ!これだから釣りはやめられない。」早速記念撮影。自慢顔、自慢顔。

 そうして、納竿(ノウカンと読みます)時間になってしまい、マスターの最後の一言、「やっぱり、俺には大きいのが来ない・・・。」そんな事無いよ、マスター。次はあなたの竿に大物が来るからね。と言う事で翌日刺身用に下ろしたコショウダイの切り身をマスターに届けました。
金森先生が持っているのがガルーパ(ハタ)
小川が持っているのが、コショウダイ(50cm 2.6kg)
釣り船から見たリアム国立公園の夕日

 どうですか?あなたも釣り愛好会メンバーと一度同行して大物を仕留めてみませんか?一度行くと愛好会メンバーに入りたくなるのは間違い有りません。

注①糸、おもり、針、うき、等々竿から先の部分を  「仕掛け」と言います。
注②船酔いが気になる人も前日よく睡眠をとっ  て、酔い止め薬を飲めば、大概の場合大丈夫  です。安心してください。
注③ここでは教えません。釣り愛好会にまず参加  して下さい。
注④確かに、釣りはその日の自然状況に左右され  ますが、それをカバーするのは釣師の腕です。
注⑤魚をすくう網の事です。
注⑥魚が糸を引っ張る魚信のことです。
注⑦船の前方(へさき)の事です。ちなみに後方「と  も」と言います。
注⑧リールは糸の強度にあわせて逆回転するよ  うに調整します。これがドラッグの調整です。

釣り愛好会 世話役
 小川泰行 電話番号088-830-8303
 平岩俊一 電話番号088-709-0065

小川泰行
カンボジア日本人会釣り愛好会世話役の一人。
1959年大阪府生まれ。農業関連事業一筋の商社マン。タイ・米国・フィリピンに次いで、カンボジアは4か国目の駐在地で現在3年目の駐在に入った。各地で各種の釣りを経験、没頭。魚を釣り上げる事のみならず、釣った魚の調理の腕もなかなかなもの。