晴読雨耕 Vol. 6

安田 理裕

「コメどころ」

 バッタンバンは「コメどころ」として有名であるが、作付面積や単収では国内一という訳でもなく、色んな種類の米があるんで、「バッタンバンの米が一番うまい」と言っていいものかどうかは微妙である。
 同じバッタンバンでも山間部ではコメではなく畑作が盛んである。そうした場所では、ゴマ(州別作付面積第4位)、緑豆(同2位)、大豆(同2位)、ピーナッツ(同2位)、キャッサバ(同3位)などが生産されており、トウモロコシに至っては、作付面積、総収量、単収第の全てにおいて断トツの1位である
 そうなのだ。「コメどころ」という名に隠れ、意外と知られていないが、実は畑作が非常に盛んであるという事実なのである。
 ただのバッタンバンの宣伝になってしまったが、まあいいか。

「パイリンシェフ」タイの国境にもいるので、タイにもいそうなシェフ

「コメづくり」

 日本からの訪問者は、その乱雑な耕作振りを見るにつけ、自ら農業の経験がなくとも、「灌漑があれば二期作が・・・」、「きちんと田植えすれば・・・」などと意見をしたくなってしまうようだ。
 確かに、カンボジアの稲作、雑なように見える。以前調べたところ、1平米当たりに播く種子の量は日本の十倍近くもあった。多く収穫したいから多く播きたいということらしいが、これでは根も生えきらない。水だってお天道様次第である。
 ただ、日本的な耕作がいいのと言えば、それも若干疑問ではある。日本のように手間暇かけても、大した値段がつかないのであれば(政府の補助もないし)、労するだけ無駄とも言えるだろう。
 農業以外の産業で言えば、いかに生産コストを抑えるか(手間を減らすか)というのが商売の肝になっていることを考えると、田植えや除草などの手間をかけないカンボジアの稲作から学ぶべき点もあるのではないだろうか。

「チリシェフ」チリにもいます

「ホクロの毛」

 何年経ってもあれだけは慣れない。
 やっぱり気になる。
 目立つからなのかなんなのか、そもそもホクロに気が生えている人が多いような気がする。
 いや、別に生えていても構わない。何故、そこまで伸ばす?
 邪魔じゃないのか?
 スープに入ったりしないのか?

「雲の誕生」雲はこんな風にできるらしい

「MSG」

欧米系のレストランに行くと、メニューなどにNO MSGと書いてあることがある。グルタミン酸ナトリウム、日本でいううまみ調味料のことだが、欧米人の間ではこれを体に悪いものと考えている人が少なくない。(勿論、他の食べ物同様、過剰摂取がよくないのは当然だが、彼らの迷信は狂信的ですらある。)そんな欧米の都市伝説に迎合する必要もないのだが、入れないほうがいいという客が多いのであれば、店側としても仕方ない措置なのかもしれない。
 その逆に、大のうま味調味料好きなのがカンボジア人である。一人当たりのうま味調味料使用量(約1.5キログラム)はアセアン一らしい。本当に何でも入れたがる。入っているからおいしいのではなく、入っていないとおいしくないという感覚なんだろう。
 カンボジアを舞台にこれほど大きく意見が分かれているのにも関わらず、一番気にしていないのが日本人という状況はなんだかおもしろい。

「脚線美」カエルは熱いと足が伸びらしい

「出稼ぎ」

 バッタンバンを含むタイ国境に近い州においては、タイへ出稼ぎに出る人が少なくない。
 プノンペンなどの工場へ働きに出る者もいるが、物理的にはタイのほうが近いし、何よりもペイがいいそうだ。農閑期ともなれば、一家で出稼ぎというケースも珍しくない。
 職業で言えば、農園での労働や工事現場などが多いようだが、中には事件に巻き込まれるケースもあるという。一番いいのは家から通える距離に仕事があることだろう。
 ということで、日本企業の皆さん、バッタンバンへの投資を宜しくお願い致します。(おっと、またバッタンバンの宣伝になってしまった。)
「My-Family-Mart」私のファミマ

安田 理裕 (やすだ まさひろ) 
何に自慢にもならないが、カンボジア日本人会会員番号No. 001。バッタンバン在住。
日本人会イベントのときには不思議とプノンペンでの仕事が入ったりする。