40号

 
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★カンボジア日本人会会報誌「にほんじんかい」第40号2007/02

<記事抜粋>

カンボジア事情(7) 「バッタンバンと人身売買」

                    特定非営利活動法人 国境なき子どもたち Kokkyo naki       

                                      Kodomotachi (KnK) 門倉若菜

  皆さんバッタンバンにお越しになった事がありますか?場所がわからない方は是非地図を開いて探してみてください。国の北東に位置し、シェムリアップ州からトンレサップ湖を挟んで反対側にあります。その農村の美しさや、各地に残るフランス植民地時代の建造物は、毎年多くの欧米人旅行者を惹き付けてやみません。その他の名所には、ポルポト時代に灌漑用水地として作られたコンピンプイ・ダムや、小高い山の上に歴史ある寺院を擁すエクプノン、プノンサンパウ、プノンバケンがあり、いずれも景観が非常に美しく、そこで暮らす人々にとっても憩いの場となっています。

 またバッタンバンはカンボジア有数の米所であり、果物が美味しいことでも有名です。『バッタンバンにはどんなおいしい食べ物がある?』というセンチメンタルなクメール歌謡曲がありますが、この歌ではオレンジ、ランブータン、ドリアン、米が美味しいと歌っています。特にオレンジは日本のみかんと違って皮は固いですがその実は甘く、シーズンには大人も子どもも夢中になって食べます。

さて、そんなバッタンバンで活動している日本のNGOの1つにKnKがあります。KnKでは15歳以上の若者を対象とした自立支援施設「若者の家」を運営しています。彼らの多くは元ストリート・チルドレンや人身売買や性的搾取の被害者であり、「若者の家」では子どもたちに適切な衣食住、教育、職業訓練やカウンセリング等を提供し、彼らの将来への自立をサポートしています。

近年KnKの受け入れでもその数を増やしているのが人身売買(トラフィッキング:主に貧困が原因で自分の意志とは関係なく他国へ出稼ぎに出されること。また、ブローカーに売り買いされるケースもある)の被害者です。貧困などから脱け出すために、国境を越えて隣国タイに働きに出るカンボジア人は毎年後をたちませんが、その中には人身売買の被害者である子どもたちも多く存在します。

タイから送還される人身売買被害者の78.1%がバンテアイミンチェイ州とバッタンバン州の出身であるといわれており(社会福祉省2004年)、また送還後も再トラフィッキングが行われる場合もあるため、その保護と予防を目的としてたKnKのような活動をここバッタンバンで行うことが必要なのです。

前述したバッタンバンの素敵な名所を訪問しながら、是非一緒に人身売買の問題について考えてみませんか。
 
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